チョコレート・ドロップ
分からない…この気持ち…
「ただいま。」
リビングに入る。
「おかえりー。」
「綾、何作ってんの?」
「ん?ケーキ☆」
ホールで、ケーキを作るなんて珍しいな。
「今日誰か来るの?」
「ううん。誰も来ないよ。」
「じゃぁ、そのケーキ誰が食べるの?」
「え?私と宏に決まってるじゃん。」
まじかよ。
結構大きいぞ…
甘いもの得意じゃないんだけどなぁ、
嫌いでもないんだけど。
まぁ、綾の作ったものなら食べるけど?
「今日、母さんは?」
「夜勤だって。ご飯何にする?」
俺の母さんは大学病院の看護士で、夜勤も多い。
基本、家では綾と2人。
「うーん…。」
つか、そのケーキ食べたら絶対晩御飯食えねぇ。
「あ!そうそう。お父さんからエアメール届いてたよ。」
俺に1通の手紙を渡された。
父さんは医者で、戦地や内乱が多発しているところに出向き
治療しているらしい…
年に会うのは数日。
「父さん帰ってくるの?」
俺は手紙の中身を見ないまま綾に聞く。
「ううん。まだ忙しいみたい…」
母さんと父さんは職場結婚。
すごく仲がいいんだ。
新婚夫婦…
「宏、ケーキできた!!食べよ食べよ!」
綾はクッキング部らしく料理とかはすごく上手なほうだと思う。
「どう?美味しい?」
「うん。」
甘いけどな。
美味しそうにケーキを食べている綾。
その細いからだのどこに消えていくんだろう…