チョコレート・ドロップ

中庭に来た。


あまり人はいない。


基本食堂だからな。


「宏樹はマジで1回もバスケやったことないの?」


「ない。」


「体育とかでやらなかったのか?」


「俺は、傍観者。」


面倒なことはしない。


「そうか、本当に…つれないなぁ。」


「ほっとけ。」


「まぁ、宏樹もバスケをするわけだし基本から特訓だな。初心者。お前1人だけだし。
 今日の部活で教えてやるからそれまでコレでも読んどけ。」


渡されたのは、”初心者でも分かるバスケ”って本。


「いきなりは無理だろうからちょっとずつな。」


「分かった、入った以上人並になる。」


「やっぱりお前可愛くねぇな。」


「悪かったな。」


ケラケラと笑っている。



「そうだ、俺はお前をなんと呼べばいい??」


「何でもー特にはないけど…。」


「じゃぁ、お前で。」


「イヤ、それは嫌だ!!」


「文句が多いなぁ、剣でいいか?」


「うん。ま、それならいい。呼び捨てなのが気に入らんけどな。
 他にぐちゃぐちゃ言われるぞ。」


「気にしない。ま、いいや。じゃ、俺は教室に帰る。」


「はいはーい。」


いままで付き合ってきたタイプと全然違うな。


少し、ほんの少しだけ楽しみかもしれないと思った…



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