チョコレート・ドロップ
「ちょっと剣!その子本当に初心者なの?」
試合を見ていたであろう監督が近づいてきた。
「そうらしいよー、すごいよね?」
「スゴイどころじゃないわよ。何で全部、意図も簡単にできるのよ!」
「俺に聞かないでほしいんだけど…」
「あぁ、ごめん…。ねぇ!瞬助!!休憩中悪いんだけど、ちょっと来て!!」
監督は休憩中のバスケ部員を呼んだ。
…背高っ!!
「おっ!剣イチオシの宏樹君?俺、源都瞬助です。よろしくー♪」
「神門宏樹です。」
この人も無駄な笑顔だな。
「瞬助、シュートして。」
瞬助という人はその場からボールを投げる。
結構遠いのに入るもんなんだな…
音を立てずに綺麗にネットをくぐった。
「あほ!そのくらいなら剣にやらすわよ。
もっと普通じゃないのがみたいんだけど…。」
「難しい要求ですね。」
今度は難しいみたいだ。
説明するのが面倒。
「うん、まぁいいでしょ。じゃぁ、宏樹君やってみて。」
「え?監督、それは無理じゃ…。」
俺は見たままやってみる。
「あ!惜しい!!」
ゴールではじかれた。
「いや、入る入らないじゃなくて凄くない?キャプテンできないでしょ。」
「うるせぇ!俺はシュートが入ればいいの。つか、宏樹なんでできるんだよ。」
「…さっき読んだ本に載ってたから。今実物見たし。」
バスケも案外楽しい。
俺は指の先でボールを回しながら不覚にもそう思ったんだ。
「美咲ー!!差し入れ持ってきたよ!!」