闇夜に浮かぶ紅い月
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見慣れた住宅街は、すでに闇に包まれていた。
レオが居ないと気を抜いて智絵理と遊んでいたら、時刻は夜の8時半を回っていた。
レオとの約束(かなり一方的だったけれど)で、高校生のうちは門限は7時ときつく言われていたのにも関わらず、時間を忘れていた結果がこれだ。
(どうせ、家にレオはいないだろうけど)
今までの経験上、レオが夜中に家を空けたときは当分帰ってこないことが多い。少なくとも、二週間は絶対に。
完璧に安堵していたのだ。
そうして住宅街を走り抜けること10分。
「なっ、嘘っ。電気点いてる……?」
我が家が見えたはいいものの、誰もいないはずの家からは明かりがあった。
今日は家政婦さんを呼んでいない。
そのため、誰かが家にいる可能性は考えられない。
ひとつを除いては。
「ただいま~」
覚悟を決め、そぉっと玄関に入る。
小声で、誰にも気づかれないように静かに扉を閉めることが出来て安心した時だった。
「遅い」
「っ!」
どす黒さのある低い声に、肩が飛び跳ねる。
恐る恐る後ろを振り返ると、そこにはリビングの扉の前に仁王立ちに腕を組んで寄り掛かっているレオの姿。
「門限、過ぎている」と睨むレオに冷や汗が流れた。