闇夜に浮かぶ紅い月
──ガチャン!
かすかに体が肌寒さを感じ始めてきた時だった。
ガラスが割れたような大きな音に、私の体は跳ね起きた。
「なっ、何? 今の音」
いつの間にか寝てしまっていたみたいだ。
カーテンを閉めていない窓の外の景色は、真っ暗なまま。
夜は明けていないようだ。
自然と足は動き、階段を降りて明かりのついているリビングへと向かう。
(そういえばあれからレオ、どうしたんだろ)
頭を冷やすと言ったきり、なにも動きをみせないレオ。
ケンカをしたわけではないけれど、気まずさからそっとリビングの扉を開けた。
「なんだ」
「ひっ!」
気づかれないように開けたつもりだったのに、逆に私が驚かされてしまった。
しかしレオの姿はなく、どこから声が聞こえたのかとキョロキョロしていると、「こっちだ」と再び声がした。
すぐ真下。
散らばる破片。
レオはしゃがみこんで割れた食器の破片を拾い集めていた。