闇夜に浮かぶ紅い月


ちらほらと寝静まる家も出てきている住宅街に、私の息遣いが響く。

走っているせいで、私の息はどんどん上昇していく。


闇を裂くように走り抜きながら思う。

もしレオを見付けたとして、私は一体どうするんだろうか。


『──触るな……っ!』


何度もレオの顔が浮かび上がってくる。

あんなに拒絶されたのに、私はなんて言葉をかければいいのか。

どう接すればいいのか。


「どこ、いるんだろ」


一通り探し回ったにもかかわらず、レオの姿を発見することは出来なかった。

足を止め、一度呼吸を整える。


(後は……)


残るは、幽霊が出ると噂のあの小さな公園だけ。

幽霊が怖いわけではない。

元々、人通りの無さや公園が木や草だらけで不気味なことから幽霊が出るという噂が出たに違いない。


ただ、夜はただでさえその不気味さが増すだけにあまり近寄りたくはなかった。


(行ってみるだけの価値はある)


僅かな可能性に賭け、私は再び足を前へと踏み出した。


そして私はそこで、意外にもあっさりとレオを見つけることができた。


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