闇夜に浮かぶ紅い月
公園の中には、ブランコ二つと小さな滑り台がある。
そしてもう一つ、屋根付きの休憩場のようなな建物があり、屋根や柱にはつたが巻き付いている。
そしてその中心にベンチが一つポツンとある。
そのベンチの前に、レオは立っていた。
「レ、オ……?」
名前を呼びかけてすぐに、異変に気付いた。
レオの隣に、女の人がいる。
しかし、電灯もないような小さな公園では二人の姿をしっかりととらえることは出来ない。
「何か聞こえませんでした?」
「興味ない」
綺麗な声。
声を聴いて、やっぱり隣にいるのは女のひとだと確信が持てた。
隠れる必要なんてないのに、二人のただならぬ雰囲気も自然と私は木の影に身を隠す。
まるでいけないことをしているような気分だ。
「突然呼ばれるなんて、思ってもいなかったです」
「……」
彼女の声はとても嬉しそうに高揚している。
「……もう、手放したらよいのではないですか」
ゆっくりとレオの頬に伸ばされる女性の手。
縮まる二人の距離。
私はそれらを見守ることしかできなかった。
溢れ出す黒い感情なんて、私は知らない。