らいおんとはりねずみ
「何?どーしたんだよ、池田」
あたしよりも大きな東村が近づいてくる。
ひーっ、く…来るなっ。あたしは反射的に鞄を片手にして、
「さ、さいならっ」
と東村に言い残して、教室を飛び出した。
やだ…何、この焦り。さっきの掃除棚から出てきた慌ただしさじゃない。
ただ、東村が微笑んだだけじゃないっ。…なのに…それだけなのに…しんぞーがうるさい。
あたしは玄関で立ち止まった。心臓は活発に動いている。走ったせいなんだと言い聞かせても…なんだか違う。
ドキッとした?
目を反らせなかった?
これって…何?
席替えをして東村と隣になった。でも、東村とまともに話したのも今日が初めてで。