らいおんとはりねずみ
うん、きっと緊張したんだよ。
廊下で合っても一言や二言しか会話をしたことがなかった東村が、あんなに笑ったからさ。
らいおんもあんな風に笑うんだって知っちゃったからかな。
だけど収まらないドキドキ。
考えてしまう、らいおんの笑顔。
あたしはまだ高鳴り続けているドキドキを止めようと必死だった。
だけど生まれてきてしまったモノは消せない。
あたしの心の中には、たった今、
─────…小さな恋のつぼみが咲いたんだ。
そして小さなはりねずみは、大きならいおんに抱いた小さな想いを消そうと必死になりつつ、学校を後にした。