らいおんとはりねずみ
「おい、池田。ノートプリーズ」
「意味わかんないんですけど?」
授業中、横から声が聞こえると思ったら…手を合わせてあたしに拝む東村の姿か。
「寝てたから板書してねーんだ。だからノート見せてくんね?」
「黒板に書いてあるから、それ見ればいいじゃん」
「今の授業の分じゃない。前の授業の分だ」
…バカでしょ、コイツ。そういえば前の授業中、顔上げなかったような。
「お礼は倍返しでっ」
あたしは東村にぶっきらぼうにノートを投げた。東村は楽々と取った。
がたいのいい東村は、あたしのちまちました行動でも楽勝に取れるんだな。背が高いってムカつく。
「コントロール悪いな。それに投げ方までツンツンで…」
「うっさい。毒舌吐くならノート貸さないよ」
「はいはい、嘘だって」