らいおんとはりねずみ
ギクリ。あたしの額から冷や汗が流れた。
「な、なんでもない」
「あ、もしかして跳べないって、なわとびがってことか?」
「………」
あたしは無言のままだった。
し、しまった。あたしってば墓穴を掘ってしまったみたいだ。
「ほーお。そうかそうか、池田にも苦手あんだな」
東村は笑いながら、ぐちゃぐちゃに丸めたプリントを見た。
「に、苦手じゃ悪い?」
「別に、誰にだって苦手はある。それに俺もなわとび苦手だし」
「東村もなわとび出来ないの?」
「んなわけねーよ。誰かさんみたいじゃないから」
あたしはらいおんをジロリと睨んだ。
「身長がありすぎると、体が縄にはまりきんねーんだ。だからなわとびは苦手」
あのー東村。それ、あたしへの嫌味っすか?