らいおんとはりねずみ





────…


「おはよ、池田」


次の日、らいおんがあたしを見下ろしながら挨拶を交わしてきた。


「…お、おっす」


「いつも通り男らしい挨拶だな」


「うっるさいっ」


あたしは俯いて、机に印されていた誰が書いたかわからない落書きを見つめた。


「それよりお前、なわとびしたんだな?」


「ふぇ?…うん、まぁ」


なんで…気づいたんだろ。昨日するって言ったっけ?


「絆創膏、たくさん貼りすぎ」


ハッとして自分の体に貼ってある絆創膏を思い出した。…そうだった。怪我をして何枚も貼ったんだった。


昨日のなわとびの出来は、高校2年生にしてはとてつもなくヒサンだった。


まず…やはり跳べない。そして縄に引っ掛かる。さらに転んで擦り傷多し。


それで、傷を見せまくる野生に見られたくなくって、絆創膏を貼ったんだ。






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