らいおんとはりねずみ
「すんげー傷だらけ」
東村がクスッと笑う。あたしは慌てて絆創膏を隠した。
何だよ、この笑いは。…ムカつくんだけど。
「で、何回跳べたんだ?」
「…に…2回」
「…2回?そんなに傷だらけになって、2回?」
「…あたしにしては結構な進歩。ずっと跳べなかったのに、2回も跳べたんだから」
ぶはっと吹き出す、珍しい東村に真面目に答えた。
2回だって、本当に大きな進歩なんだよ。あんたみたいじゃないんだから。
「てか、東村はどうなの?二重跳びは」
「余裕。誰かさんと違ってな」
うっわー。すんっごい憎たらしい顔してるし。
「そーですか」
あたしは素っ気なく返し、窓の外を眺めた。