らいおんとはりねずみ
2つ目は…マフラーをぐるぐる巻きにして寒そうにポケットに手を突っ込んだまま、こちらを見ている東村がいるからだ。
…ったく、こっち見ないでよね。あたしは心の中で訴えた。
「42、43、44…45っ」
それでも続け、50回を達成した。東村が小さな声でおぉっと驚く。まだまだなんだからね。
「なぁ、池田」
「53…54っ、な、何っ」
「キツそうだな」
「わかってんなら話しかけんなぁっ。61…62…63っ」
な、何なのよぉ。人が必死に100回目指そうとしてるところに。邪魔者めっ。
しかも何気クスクス笑ってるし。あーMU・KA・TSU・KU!
「68、69…70!」
あたしは喜びを隠せず、つい嬉しい声をあげてしまった。