らいおんとはりねずみ
「85、86…87っ」
あ、あと約10回だ。あたしはやる気を取り戻して力を入れる。
それでも、たまに当たりそうになる東村にドキドキしてしまう。なんでこんなに近いのさ。
「92、93…94…」
あと少し。よし、あと少しで念願の100回だっ。目標達成出来るんだ!
「97…98…99…」
そして、あたしは大きく息を吸い込んで夢にまで見ていた数字を言った。
「ひゃ…」
だけど、あたしは『100』を言えなかったんだ。
だって…この状況を理解出来る?
さっきまで、40センチくらいあたしと離れていた東村の顔が…今はあたしの前にあって。
そしてなぜか、『100』と言おうとしたあたしの唇は…東村という巨体ならいおんの唇によって塞がれていたのだから。