らいおんとはりねずみ
「…く」
どれくらいあたし達は停止していたのだろう。唇が離れると、『ひゃく』の『く』を言っていた。
「………今の…何?」
あたしの心臓はまだついていけていないせいか、バックンバックンと鳴る。
「キス」
「そ、れくらいわかってるっ。なんで…んであんなこと…」
「なんでって言われても、したかったから?」
「…は?」
「お前見てたら面白くて…」
バシッ!
「ふ、ふざけんなっ!」
精一杯背伸びして、身長の大きな東村の頬をぶっ叩いた。
そして持っていた縄を握りしめ、ベンチに置いていたケータイとお金を取って公園から走り出した。
何…何なの!?何が面白かったの?100回跳ぶのに必死になってたあたしが?それとも近くにいた東村にドキドキしていたあたしが?