らいおんとはりねずみ
「い、今のって?」
「東村はあたしとキスしたんだよってやつ」
「……」
ヤバイ、バリバリ聞かれてんじゃん。あたしの背筋には冷や汗が流れた。
「何であんなこと言ったの?」
「そ、れは…」
言えない。東村を他の女のコに取られたくなかったから…なんて。あたしは俯いたままだった。
「なぁ、池田」
「…何」
「もしかして俺に惚れた?」
─────…何言ってんだよ。
いつもならそう言っていた。いつもなら。だけど今日は…違う。小さな一歩を…踏み出すんだ。
あたしはおずおず振り返って、熱くなってる顔を見られないように
「…だ、だったら?」
と答えた。あたしって本当に素直じゃない奴、可愛くない奴。