Snow Princess ~雪の華~

しかし市場はおろか、城下すら降りたことのないマリンは初めての景色につられ勝手に一人でふらふらと歩いてきてしまった。

そうして気づけば当然のごとくシーモアはおらず、朝の市場が始まり人がどんどん増えて今に至るという訳だ。


「シーモア! どこ?!」


かんしゃくを起こして叫べば、周りの人間が驚いたようにマリンを見つめるが、皆そのまま通り過ぎる。


「なんなのよ! こんな風になるために出てきた訳じゃないのに…」


とりあえず人気の少ない端まできて、座り込む。
うつむいて爪を噛み、シーモアのバカとつぶやいていると頭上に影がさした。


「?」



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