Snow Princess ~雪の華~
日も落ちて、夜店がにぎやかになってきた通りを男は歩いていく。
と、その時。男のポケットに入っていた小さな機械が音を立てた。
「おっと、呼び出しか? ──はい、もしもし?」
『何をしていたの! 定期連絡は怠るなっていったじゃない!』
いきなり飛び込んだ怒号に思わず電話を耳から離す。
「そう怒りなさんなって。ちょおっと面白いお姫様と遊んでたもんでね」
『お姫様? 誰よそれ』
「あんたのだーい好きなお姫さんさ」
『まさか…!』
相手の声の調子が変わり、男はニヤリと笑う。
「お察しの通り、我らが王女マリン様さ」
『はぁ? 何であいつがこんなとこにいるのよ?』
「抜け出してきたんだとよ。全く笑えるよな?」
『どうしてあいつだってわかったの?』