Snow Princess ~雪の華~
「おいおい、装飾品にオパールを身につけていいのは王族だけって教えてくれたのはあんただろ?」
『貴方に宝石を見分けられる目があったとは知らなかったわ』
「うわぁ、手厳しいね」
そういいながら男は楽しそうに笑う。鉱物を使って作ったアクセサリーを売っている店が目に止まり、近づく。
『せいぜい情報を搾り取ってきたんでしょうね?』
「それがよ、情報をもってるどころかなぁんも知らねーでやんの」
『ふざけてるの?』
「いいや全く?」
おどけてみせる男に声の主は大きくため息をついた。
見ていたブレスレッドをおくと、店の主人は不満そうに男を見上げた。
『とにかく、早く帰ってきなさい。パーティまでもう時間がないんだから』
「わかりましたよ、お嬢様」
『返事の仕方はもう少し考えることね』
そして、電話は一方的に切られた。
結局、男は髪飾りを買って、電話と共にポケットにねじ込む。
「全く。変なところで似てどっちもじゃじゃ馬お姫さんだな」
肩をすくめ、男はまた歩き出した。