Snow Princess ~雪の華~


マリンから嗚咽が零れ始める。

しかし彼女はそんなことで許すほど甘くはなかった。


「泣けば済むという問題ではありませんよ」


それでも、彼女は優しかった。


ふわっといい香りがしたかと思うと、マリンはリリーの腕の中にいた。


「お、継母さま…?」


マリンは驚いて目を白黒させた。


「泣きたいのは貴女だけではないのです…! 私たちがどんな思いで帰りを待っていたと思っているのですか?」

「“私たち”…?」

「そう。貴女は一人じゃないもの。私もシャーマもリリアも、ラミアも、キーファも皆貴女を心配してたのよ」

「そんな……」



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