Snow Princess ~雪の華~
ほめてないわよ! と怒るとリリアはクスクスと笑った。
「怖いとはちょっと違うかもしれないわ。胸騒ぎ…かしら?」
──姫様がこんなことを言うなんて
リリアはちょっと目を見開き、微笑んだ。
「大丈夫ですよ。きっと公の場に出るのは初めてのことなので緊張しているだけですよ」
マリンは心配そうな顔でリリアを見上げた。
「それか、こんなことは十年前以来ですから、姫様のトラウマが蘇ってきているのかも知れません」
「そうかしら…? とにかく、明日が来るのが怖いわ」
マリンがしおらしくうつむくと、リリアはちょっと怒ったように言った。
「しっかりしてください?
姫様はともかく、私は明日の何もかもが初めてのことなんですからね? 私のほうがもう心臓がはち切れそうですよ!」
「そんなこと、ちっとも見せないじゃない」
「そういう風に暮らしてきただけです」