Snow Princess ~雪の華~
彼女がさらわれたときも、こんなパーティの日だった。
母が前に立ち、客人たちに挨拶の言葉をしようというときだった。
母の背後のステンドグラスが同時に割れて、黒装束に包まれた人間がなだれ込んできた。
広間はパニックに襲われた。
悲鳴を上げる者、右往左往する者、大慌てで広間から逃げ出そうとする者、様々だった。
人々が出口になだれ込むそのど真ん中で、7歳のマリンは立ち尽くして、ただただ母を見つめていた。
二人の黒装束につかまれ、抵抗している母。
そのうちにどこかを殴られ、母は崩れ落ちた。
その時、急にマリンの体の緊張が解けた。
人の流れに逆らって母の元へと駆け寄ろうと向かう。
しかし、子供一人では大人の波に抵抗し続けることは出来ず、そのまま外へと押し出される。