Snow Princess ~雪の華~

いつしか跪いてうつむくマリンの眉間に深い皺が刻まれていた。
優しく肩に手が置かれた。

はっとして顔を上げると、丁度父と教皇とでのやりとりが終わったところだった。

リリーを見れば、柔らかく微笑んでいた。

マリンも口をきゅっと結び、立ち上がる。
その姿には、自信と気品に溢れていた。

父を見れば、驚いたようなうれしいような表情を、教皇はにこやかな祝福を浮かべている。


さあ、と二人に促され振り向く。
あの日以来このようなパーティを開かなくなった城。


貴族は見知らぬ顔ばかり。

その中に一人、なじみの顔・リリアがいた。
リリアは、力強くうなずいた。

マリンも微笑み、前を向いた。



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