Snow Princess ~雪の華~
部屋はレンガ造りで薄暗くひんやりしていた。
木製の軋む扉を出てもそれは同じで廊下の奥に螺旋階段が伸びている。
マリンは小走りで廊下を抜けて上にしかいけない階段を上がった。
あがった先にあったのは大きな屋敷であると簡単に判断できる大きな玄関ホール。
さすがに城ほどではないが、立派なつくりである。
が、城以外の屋敷など見たことのないマリンは興味のカケラも示さず、適当に扉を開いてみる。
「ここ、どこなのかしら…? あら、また掃除置き場。どんだけあるのよ? 城にだってこんなにはないわよ?」
それはマリンがいじらないようにという使用人たちの努力とは知らないマリンがつぶやく。
その時、上の階で何かが倒れるような物音がした。
「なにかしら…?」
マリンはその音の出所を探して歩き出した。