Snow Princess ~雪の華~
まるで――

遥か昔に戻ったような気分だった。


いつも、薔薇の香りの漂うドアを開ければ優しい陽光が差し込む暖かい部屋。

その陽射しを後光のように受けてひじ掛け椅子に座ってこちらに微笑む母。


「いらっしゃいな」


その声を受けると母の膝元に飛び込んだものだった。


そして、「姫としてはしたないですよ」と優しくたしなめられた。


今では遠い記憶だ。



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