Snow Princess ~雪の華~


そして母が腰掛けているはずの肘掛け椅子には、別の人物が座っていた。

小さな体なのに其れを感じさせないほどに堂々とゆったりと足を組んですわる少女。

外見はマリンとそう年は変わらなさそうである。


それどころか、ぷっくりとした唇や上目遣いで見上げてくる小悪魔的に釣りあがった目の形など、マリンにそっくりである。


目の前の彼女とそっくりな目を言葉通りに吊り上げてマリンはまくし立てた。


「どういうこと? あなたは誰?! お母様はこなの?!」

「ちょっと叫ばないでよ。もうこんな夜なのよ? 近所迷惑も考えなさいよ」

「なっ…」


少女は面倒そうに頬杖をついてマリンを見つめた。



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