Snow Princess ~雪の華~
「……」
時が止まったかのようだった。
頭は真っ白になり、何も動くものもなく、風さえもそよぎはしない。
「う、そ…嘘でしょ……どういうこと? なんなのよ!」
「嘘じゃないわ。本当のことよ? 信じられない? だったら……ほら!」
少女はマリンの手をとり、壁にかけてある全身が写るほどの大きな鏡まで引っ張っていった。
確かにそこには、髪や瞳の色は違うものの一つ一つのパーツはよく似た二つの顔が見つめ返してくる。
「ね? そっくりでしょ? これが何よりの証拠よ!」
マリンは、驚き呆けた顔で力なく頭を振った。
夢だと思いたかった。
そんなはずはないという証拠がどこかに欲しかった。