Snow Princess ~雪の華~
「何故? 何故なの!」


詰め寄るマリンを馬をなだめるかのように押し留め、申し訳なさそうに言った。


「彼女のお心はもう壊れてしまっているのですわ。此処では私が“マリン”なのです」


少女はローズの手をほどき、マリンの耳元に顔を寄せて囁く。


「でもそれが本当に“マリン”かどうかなんて関係無いわ。別に誰だっていいのよ」


マリンの膝から力が消えた。
なのに、少女の囁く声に吊られるように突っ立っていた。


「あんた――いらないのよ」


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