Snow Princess ~雪の華~
マリンを支えていた確固たるものが急速に風化して崩れ落ちていく。
気付くとマリンは隠し部屋の外に放り出された。
床に顔を打ち付けても、そのまま動かない。
「あら、あれだけのことなのにずいぶん傷心のようね」
ウキウキした声で少女が隠し部屋から出てきた。
マリンはぼうっと少女を見上げる。
たちの悪いいたずらを完了させたかのような顔で、少女はマリンの顔を覗き込む。
「あんなにうまくいくとは思ってもみなかったわ。
あんたのことを忘れさせたのは私だけど、障害が何にもなくってびっくりしたわ」
「忘れさせた…?」
「そうよ?」
少女は首を横に倒して目を細めた。