Snow Princess ~雪の華~
「ベリルよ。ヘレナ・ミーサ・ド・ベリル。
知ってた? 宝石のベリルって赤いんだけど成分はアクアマリンと同じらしいわよ」


マリンは何も言わなかった。
ベリルはフン、と鼻で笑った。


「おしゃべりはもうおしまい?
それでもいいけど、恐怖を押さえ込むのは同じくらい恐怖を増幅させることになるのよ?
まあ、殺すときはこの私が直々に首を掻き切ってあげるからしゃべれないでしょうけれど」


黒装束の男の二人が、マリンを拘束した。
ベリルは飾り用の一番切れ味の悪そうなナイフを選んでマリンの正面に立つ。


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