Snow Princess ~雪の華~
「あんな奴等とはキツイお言葉だねえ、リリアちゃん?」
「何者だ!」
二人は辺り一面見渡したが、誰もいない。
体から警戒を解かず、向こうを待っていても何も起こらない。
「こっちこっち、中だよ」
二人が門を振り向くと、荘厳な音をたて、ゆっくりと開いた。
まっすぐ屋敷に続く道の真ん中に、男が1人立っていた。
スラリと背が高い、中年の男性だ。
遠目だが、浅黒い肌が彼を外国人であると物語っている。
彼を見て、リリアは呻くように呟いた。
「…ゴーシェさんっ…」
「!?」
キーファはリリアを凝視した。
彼の名前を呼んだだけではない。
その後に小さく何か聞こえたのだ。
確証はないが、『やっぱり』と。