Snow Princess ~雪の華~
否定、してくれない。
できることなら、それは違うと。
本当に孤児だったのだと、一言。

しかし、それはない。
ゴーシェはここで嘘をつくような人ではない。


ゴーシェの悲しそうな瞳を鋭く睨みつけたままで短く言った。


「書類の処理を頼まれた時に見つけたのよ!」

「誰の命令か、なんて聞く必要もないか」


ゴーシェは頭をかいてため息をついた。


「そこまで知られてたら、もう帰す訳にはいかないね」

「んなもん元からねー癖に」


キーファが呟くと、ゴーシェはまた微笑んだ。


キーファが剣を構えると、リリアが前に出た。


「おい?」

「下がってて」

「それオレのセリフじゃね?」

「ごめん」

「従った方がいいよ、ナイト君。君じゃ相手にならない」


キーファは傷付いた顔をした。
だが、リリアの真剣な瞳を見ると、すごすごと引き下がる。


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