Snow Princess ~雪の華~
キーファが下がり、二人の間に何もなくなると、ゴーシェは笑いをこぼした。


「何だかわくわくするよ。君との手合わせは何年ぶりだろう?」

「さあ? 3、4年ぶりくらいですか?」


何の感情も挟まずに答えるリリアの右腕から音を立てて刃が三本伸びた。


「鉤爪(かぎづめ)か…十八番だったっけ?」

「ええ、一番使いやすくて」


少しだけ、リリアの頬が誇らしげに染まった。


静かな二人の中心に一迅の風が吹く。
巻き上がった塵が降りた時、二人は同時に地を蹴った。

金属の触れ合う音。
ゴーシェはナイフで爪を受け止める。


すぐに間合いをとりに、後ろへ飛び退った。


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