Snow Princess ~雪の華~

その時だ。

マリンの視界の中で何かがちらついた。


――なに?


目を凝らして探せば、すぐ近く、ベリルが透けていたのだ。

――なによ、これ?

見守っていると、娘はうっすらとした影になり、ベリルに同じような影が重なってきた。


女の影。
ベリルに似ているが、どことなくちがう。

見ていれば女はどんどん老けて、恐ろしい形相の老婆に変貌した。

マリンが口を開こうとした瞬間、老婆は顔を上げた。

――気付かれた!

そう思った瞬間、マリンは肉体に戻っていた。

しかし意識ははっきりとしている。


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