Snow Princess ~雪の華~
「あがっ!」


壁にぶつかった時、背中で何かがカチリと音を立てて動いた。

マリンは鏡に激突したようで、衝撃で隠し扉が作動したらしい。


扉が開くと、恐ろしい速さでベリルが隠し部屋に駆け込んだ。

マリンも続こうとしたが、すんでで止まった。
鼻先に鋭いナイフが突き付けられていたからだ。


「大人しくしてなさい。ローズがどうなってもいいの?」

「! ――卑怯な!」


ベリルはナイフを持つ手とは逆の手でまた空を掴み、背後でローズが宙に浮いていた。

手を上下に揺さぶれば、同じように母も揺れた。


「やめて!!」


マリンは悲痛な声で叫んだ。


「部屋から出なさい」


< 238 / 432 >

この作品をシェア

pagetop