Snow Princess ~雪の華~
母を人質に取られたマリンになす術はなく、ベリルに従う。
ベリルはマリンに突きつけていたナイフをローズに向けた。
眠っていたところをそのまま持ち上げられたのか、ローズの目は閉じられている。
部屋から出ると、隠し扉はひとりでに閉まった。
マリンを鏡の前に、自分は廊下へ出るドアの前で二人は立ち止まる。
ベリルは突然己を取り戻したマリンを警戒しているのか、マリンの一挙手一投足に敏感に反応した。
「お母様からナイフを退けて」
力を入れすぎて、皮膚にナイフが食い込みつつあるのを見てマリンが言った。
「ハッ、何を。そもそも私はこの女を殺したいのよ! やめるわけないでしょ?」
「それなのに、今の今までお母様を殺さずにとっていたの?」
ギリ、とはっきりと音が聞こえる。