Snow Princess ~雪の華~

「殺したかったわよ。でも、あいつがいたから、殺せなかった」

「?」

「あなたに言う必要はないわ。教えるつもりもない。
でも少しはいいことしてくれたわよ。おかげでこの体が手に入ったんだもの」

「やっぱりあなたの体じゃないのね!」


マリンが1歩踏み出す。
同時にベリルも後ずさる。


「だからなんだって言うの? この体は私のもの。この子が産まれた時からね。

死んだとされた王妃との娘よ? 表立って生きていけるわけないじゃない。だから私の娘として育てたの」


──わからない。

マリンは複雑な面持ちでベリルを見つめた。

彼女は母を憎んでいる。

ずっと殺したかった。
それはきっと何年も昔の話。
さらってからは手出しが出来なかった。
ベリルの育ての親になった。
母を殺す。
そのチャンスが、今日やっと巡ってきた。


彼女の話をまとめるとざっとこんな感じだ。


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