Snow Princess ~雪の華~
リリアは、マリンを抱きしめた。
なんて悲惨な運命をたどるのだろうか?
母を奪われ、再会すればもうそれば別人だと思われた。
そして自分を貶めた相手を自分だと思って泣いてる。
2度、母を奪われたのだ。
その泣き声が、突然止んだ。
ギリ、という音に振り向けば、ローズは首を絞められていた。
「ゴーシェさん!」
悲鳴をあげれば王妃を絞める男は力無くリリアに微笑んだ。
顔を上げようとするマリンを自分の胸に押し付け、耳をふさいでやる。
──あなたは、見なくていい!
女が崩れ落ちて男は紐を取る。
そしてナイフで首をかき切った。
緋い鮮血がリリアの腕にも飛び散った。
「どうして…?」
「どうせもう死んだとされてる。いまさら戻っても問題にしかならない。
まして、こんな状態じゃあね。
それと、覚えておくといいよ。
男は惚れた女にはどこまでも弱いんだ」
それだけ言うと、ゴーシェは姿を消した。