Snow Princess ~雪の華~
「何だと…?」
「貴方にわかってもらおうとは思わないわ!」
リリーは荒々しく椅子をどけ、書斎から出て行った。
リリーの背中に向けた行き場の無い手を伸ばしたまま、しばらくシャーマは固まっていた。
やがて手を下ろし、うなだれると彼もまた書斎から出て行った。
二人が出て行ったのとは別の――魔女の部屋からつながるほうの――隠し扉にリリアが立ち尽くしていた。
──二人は…いったい何の話を?
別に盗み聞きするつもりはどこにも無かった。
掃除をするためにきたら、たまたまこの場に居合わせただけ。
とにかく、自分を落ち着けようとリリアは掃除を始めた。