Snow Princess ~雪の華~
リリーは椅子の向きを変えて鏡と向き合った。

鏡は確かに、少し魔力を宿している。
あとは、特に変わりはないように見える。


「自由に話せるならもはや鏡じゃないわね。領分を超えてるわ。
いっそのこと名前でもつけてあげましょうか?」

リリーが皮肉を飛ばす。
だが鏡は真剣な表情を崩さない。
その妙な圧力にリリーはうろたえた。


「領分をこえたモノに降りかかるのは厄災だけ。
けど、オレはそこまで行きたいんだ」

「何が起こるかわからないみたいな?」


言葉があんまり適切ではなかったようで、首を傾げた。


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