Snow Princess ~雪の華~
鏡はどこと無く悲しいのか。
シルクハットは彼の口元より上を覆い隠し、何も見て取れることは出来ないといのに。


「歪みの先には破壊だけさ」

「歪み……この国は歪んでいるというの?」


思い当たる節が無いとは言えない。
それでも、聞かずにはいられなかった。
鏡はまた読み取れない表情で答える。


「流れがない。
鎖国体制の所為だけじゃない。
この国は時代の流れさえも拒絶しているんだ。

攻め込まれたら終わるぜ。
兵器にしたって、国民の暮らしにしたって、他はとっくに進んでいる」


リリーは呆然とした。
そして、先ほどのシャーマの言葉が脳裏をよぎる。


「彼はこのことを知っていて?」

「ああ」


鏡はあっさりと言った。

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