Snow Princess ~雪の華~
2
マリンは、以前乗り越えて行った柵の目の前のテラスでお茶をしていた。
ただぼーっと外を見つめている。
「ねぇ、リリア」
リリアはお茶を汲む手を止め、マリンを振り返る。
「私、此処から追い出されるそうなの」
リリアは驚いてポットを取り落とした。
ガシャンと大きな音を立てて割れたポットは中身をぶちまけた。
真っ白なテーブルクロスに紅茶が染みていく。
珍しく慌てたリリアを見てマリンは苦笑した。
「そんなに驚くことないじゃない。――手伝うわ」
足元の欠片を拾いにマリンはかがみ込んだ。