Snow Princess ~雪の華~

「――いっ!」


リリアが別にいいと言いに駆け寄ったその時、案の定マリンは破片で指を切った。
白い指から真っ赤な血が流れ落ちる。


垂れた血が床の紅茶と混ざり会う様子を、マリンはただ見つめポツリとこぼす。


「私、ここにいていいのかな?」


リリアはハッとしてマリンを見た。

マリンはどこか遠くを見つめている。
突然、リリアが立ち上がった。

顔を上げてリリアの視線の先を見ると、その先には父がまっすぐこちらに歩いてきていた。


「話がある――来なさい」


マリンはゆっくりと立ち上がった。


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