Snow Princess ~雪の華~
少し待つとおじさんらしき人が現れて、馬車は出発した。
椅子は決して座り心地がいいとは言えなかったが、マリンはありがたく座ることにした。
そのうちに揺れる馬車が心地よく、マリンは眠りこんでしまった。
気づくと窓の景色は暗くなっていた。
少しすると、馬車は止まった。
何かあったのかとマリンは荷台の扉に手をかけたとき、その扉が向こうからパッと開いた。
「キャッ! 何よ、危ないわね!」
入ってきたのは見知らぬ男。
下卑た笑いが張り付いていて、ずんぐりと背が低い。
その後ろにはまた違う男に捕まっているおじさんがいた。
「な、なんなのよ!」
「お嬢ちゃん、逃げろッ! こいつら山賊だ!」
「はぁ!?」
山賊など見たことも聞いたこともないマリン。
意味がわからないでいる間にあっけなくつかまり、手を縛られてしまった。