Snow Princess ~雪の華~
「無礼者! 私を誰だと思ってこんなことしてるの!」
「へぇ? 誰だ?」
「何を隠そう、この私は王女マリンよッ!」
男たちは笑い、おじさんはあっけにとられた顔をした。
──なんか…前にも似たようなことあったわね……
これ以上はあまり下手なことは言わない方がいいという危険本能がようやく働き、マリンは押し黙った。
だが時すでに遅し。
面白がった山賊はまずおじさんを殴って気絶させた。
崩れたおじさんを馬車の奥に寝かせた。
おじさんを今まで捕まえていたのは一人とは対照的にひょろりと長い男だった。
「そんじゃあ……ま、いただきますかぁ?」
「な、何よ、私を食べるっての?」
「まま、そんなもんだ」
そういって山賊はマリンの上着を剥ぎ取った。
これには驚いて、マリンは悲鳴をあげた。