Snow Princess ~雪の華~
あんまり驚かれたのでマリンはきまりが悪そうに苦笑いした。
「どうやってここまで来たの?!」
「何か、帰りたいって思ったら…いつの間にか」
「?」
リリアとリリーは首を傾げた。
マリンの声がどこか遠くから響くように、フィルターがかかった感じに聞こえてくるのだ。
腑に落ちない表情でリリーは口を開く。
「どうしてなのかしら…ここに見えているのに」
「それはそいつの精神しかここにいないからさ」
鏡はずり落ちた帽子を直しながら言った。
「いわゆる、幽体離脱ってやつだ」
リリアはまじまじとそこに佇むマリンを見つめる。
確かにどこかうっすらとしている上に、足元は見えない程に薄れている。
ここにいるのは、本物ではない。