Snow Princess ~雪の華~

コホン。
鏡は沈黙を確かめるように咳払いした。

そして、厳かな雰囲気を作って口を開く。


「この国の結界が神の御石のオパールで保たれていることは前に話したな。
シャーマの件もそれに関係するんだ」


少し間を取って、鏡はマリンのほうを向く。


「なあ、ここに来る途中に糸のようなものがこの城に繋がっているのが見えなかったか?」

「うーん…わからないわ。とにかく、いつの間にかここにいたんだもの」

「そう、か。じゃあ、今ちょっと廊下かなんかに出て見えないか?」


自分が動くことにちょっと不満を覚えたが、マリンは壁を通り抜けて廊下に出てみた。

すると、ちょうどマリンの目の前に掃除をする使用人が見えた。
使用人を目を凝らして見ると、背中の真ん中からほとんど透明で透き通った糸が伸びているのが見える。

ちょっと興味がわいて辿ってみると、父の自室に続いていることがわかった。

マリンはすぐさま書斎に戻り、それを皆に報告した。


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