Snow Princess ~雪の華~

「よかったのか?」


マリンのいなくなった部屋で、鏡は小さく尋ねた。

「何がよ」

「あいつ、思ったよりも魔力が強い。幽体離脱してこんなに長い間実体を保っていた」

「だから何よ」


リリーはイライラと返した。
彼女はこの鏡の、こうやってもったいぶって、問題のわかっていることを前提に話すところが嫌いだった。


「あいつの魔力全部をオレに譲渡できたら、出来るかもしれない。そして同時にオレの望みも叶う可能性がある」

「どういう──」

「御石を壊せるかもしれねってんだよ!」

「!!」


リリーは驚いた顔で鏡を見つめた。


「オレとしてもあと少しなんだ。この何百年と魔力をためてきて、あと少しでオレは禁忌の域に達する。

そうなれば、神の御石を壊すほどの力もあるし壊せたら俺は確実に神の怒りに触れて力を奪われただの鏡になれる。

なれなくとも、御石を壊すときの反動でオレも壊れるはずだ」


< 330 / 432 >

この作品をシェア

pagetop