Snow Princess ~雪の華~
「……」
リリーはびっくりした顔のまま鏡を見つめていた。
さっきまで、彼があんなにうれしそうに語っていた理由はこれだったのだ。
マリンの力を目の当たりにして、これだけの人数が自分の話を聞いてくれて、自分の悲願がようやく叶うところがはっきりと見えたのだ。
喜ばずにはいられないのだろう。
しかし…
「魔力の譲渡はそう簡単にできるものではないわよ」
「わかってる。でも、あんたがいるだろう?」
使えるものはすべて利用しようということか。
リリーは思わずプッと吹き出した。
「わかったわ」
「さっすが。うまく頼むぜ」
リリーは少し微笑むと、部屋を出て行った。